[TD4] 部品配置図、仮想配線に向けた環境構築(PasS)


TD4関連記事は4bit-CPU TD4で管理しています。


TD4はなかなかに大規模で複雑な配線となるため、部品配置と仮想配線は非常に大事なプロセスとなります。これによって実装時間の短縮とバグ削減だけではなく、この工程自体が良い経験になるという意味合いも込めて実施します。

ユニバーサル基板エディタ「PasS」

今回、仮想配線に使用するソフトは「PasS」というユニバーサル基板エディタです。非常にシンプルなドローソフトですが、「ユニバーサル基板向け」という非常にニッチな制約があるが故の使いやすさがあります。このソフトを使うには最初に部品データを作成する必要があるのですが、これがなかなか骨の折れる作業です。デフォルトで用意されている部品はかなり少ないので、多くの場合は自分で作成することになります。特にICB-96GUなどのパターン基板では基板上の銅パターンも忠実に再現する必要があるため、結構な作業時間が想定されます。

必要な部品データの検討

今回作成が必要な部品は以下の4点です。

  • ユニバーサル基板 ICB-96GU (表面と裏面)
  • DN9-1C
  • セラミックコンデンサ 2.54mmピッチ
  • セラミックコンデンサ 汎用ロジックICピッチ

特にGU型番のユニバーサル基板は、あらかじめパターンが引かれているため、それを全て描き起こすとなると日が暮れても終わらない作業になりそうでした。途方に暮れていたところ、こちらのブログにICB-98GUの部品データが公開されているのを発見……!これを改造すれば96GUも作成できそうだと考え、制作者様に感謝しながらデータをいただきました。ちなみにそのブログではロジックICで自作の8ビットCPUが紹介されていて、TD4の上位互換とも言える素晴らしい作品でした。

セラミックコンデンサのデータは2.54mmピッチのものと、汎用ロジックICピッチに合わせたものの2種類を用意することで、様々な場所での効率的な配置が可能になります。特に後者は、ICのVCCとGNDピン間に直接配置できるため、電源デカップリングの仮想配線に役立ちます。

部品データの作成

PasSのマニュアルを読むと、基板の幅は最上部の黒色(R, G, B)=(0, 0, 0)の場所で判断してされ、部品のピン位置は赤色のドットで指定するようです。これらの仕様に合わせてデータを作成していきました。なお、部品データ作成時の重要なポイントは「スケーリング」の理解です。PasSでは画像ピクセルと実際の物理的な寸法の対応関係が重要になります。例えば、2.54mmのピン間隔を何ピクセルで表現するかを正確に設定しないと、画面上ではきれいに見えても実際の基板ではピンが穴に合わないという問題が発生します。このスケーリングは部品データ作成の最初に正確に設定し、すべての部品で一貫して守る必要があります。

技術的には、これは「ピクセル密度」と「物理単位の変換」の問題です。実際の部品寸法(ミリメートル単位)をソフト上のピクセル単位に正確に変換するためには、変換係数を正しく決定する必要があります。今回は10ピクセル=2.54mmという変換率を採用し、すべての部品データをこの基準で作成しました。

部品データの作成完了

試行錯誤の末、ICB-96GU基板の表面と裏面、DN9-1Cの部品データ作成を終えました。基板は半田面を作成した後、左右反転させて灰色のパターンを基板色で埋めて完成。DN9-1Cはピンソケットのデータをベースに9ピン長方形部品として作成しています。なお、セラコン2.54mmピッチのデータはヘッドホンアンプ・プラスアルファ #4 基板で仕上げ(完成編)から頂いたものを活用しています。

部品データを置いておきます

以下に画像ファイルとして置いておきます。

◯ICB-96GU

◯DN9-1C

◯セラコン 汎用ロジックICピッチ

一時はどうなることかと思いましたが、次回から部品配置と仮想配線がスタートできそうです。


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